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旧約聖書出エジプト記 (岩波文庫 青 801-2)
 えー、聖書は旧約聖書と新約聖書に分かれますが、この違いはヤハウェとの約束かイエス・キリストとの約束かによる違い。旧約はヤハウェとの契約で、新約はキリストとの契約。まぁ、この旧約聖書はユダヤ教、キリスト教、イスラム教のベースとなっていますし、欧米の文学でも盛んに引用されてますから知っといて損はないかと。あと現代哲学者のジャック・デリダも『声と現象』(『死を与える』よりもこれの方が強いかと)のベースとなる考えですし*1。ちなみによく誤解されるのが「目には目を歯には歯を」という文句(21.24)。ハムラビ法典が元ネタだと思われがちですが『出エジプト記』が元ネタみたいです。これは「やられたらやり返せ」ではなく、一発殴られたら、一発しか殴っちゃいけないよ、という意味なんです。つまり二発、四発、八発……という倍返しを禁じているんです*2
 で、この『出エジプト記』ですが面白かったです。特にヤハウェのツンデレ&内助の功具合が(笑)え? 真面目に論じる気? ありませんよ? そんなもん。
 さて、話の筋は奴隷のモーセがヤハウェの教唆の元、エジプトから集団(六〇万人)で脱北を行って、辿りついたイスラエルで新たな生活を始めるという話です。ちなみにアロンの杖あるんならエジプトをのっとれるんじゃないのかとか、軍隊が追いかけてきたときに海が割れて全滅させたらそのままエジプトに引き返してのっとれよ、とかヤハウェはエジプトをソドムとゴモラみたいにふっ飛ばして、そこにイスラエルを建国した方が早くね? とかいうのは触れてはいけないことなんだと思います。
 「べ、べつにイスラエルのことなんて知らないんだから」、といいながらも影でこっそりと支援している。やっぱヤハウェはツンデレだと。で、そんなヤハウェはイスラエルに着いたら十戒を立てさせます。別に中国人がどうとか双子トリックがどうだとかは書いていません。
一、デレデレ目移りしてんじゃないわよ! 私だけ見てればいいの!
二、この世にアタシはアタシ一人で充分なのよ!
三、あたしの名前、喋ったらどうなるかわかってるでしょうね?
四、七日目は何もすんじゃないわよ。何かしてたらただじゃおかないからね!
五、お母さんとお父さんは大切にね
六、人を殺しちゃだめ
七、奥さん以外とのセクロスは禁止
八、人のものを盗らないでね
九、ウソつきは大ッ嫌い
十、ご近所付き合いは大事に
 という内容になります(なお第一〜第四はTさんに考えて頂きました)。ちなみにこの十戒は十誠と記されることもありますが、これは儒教の十戒と区別するためです。「話の流れで解るだろう、常考」という反論は認めません。
 で、この戒律を固く守らせることを誓わせます。まぁ、ヤハウェに「破ったら死んじゃうよ?」と言われたら嫌でも守るしかないでしょう*3。さらには家の建て方まで細かく指示。どうやらこのヤハウェかなり独占欲が強いみたいで、ユダヤの民はしばらく忠実に守って暮らすこととなります。その結果、十戒マンセーとなってしまい、日曜日には外出禁止になってしまいます。この律法を守ることがユダヤ教徒である証拠だとヤハウェは言います。
 つ・ま・り、シャロンさんを含む今のユダヤ人は十戒を守っていない以上、ヤハウェとの契約違反になるんです。つまり彼らは原理的にユダヤ教徒と名乗る資格はないんです。
 そこでモーセはやって来て、民にヤハウェのすべての言葉とすべての法とを語った。するとすべての民は異口同音に答えて言った、「ヤハウェが語られたことをみなわれわれは行います」(24.3)
 ご近所の土地を欲しがるな、財産を欲しがるな、とヤハウェは言います。しかし、ガザに侵攻している時点でそれはアウトなんです。汝殺すなかれと、汝みだりに神の名を口に語るなかれ、それから安息日のことが絡んできます。多分、こういう事態を恐れて、偶像崇拝の禁止とか、みだりに神の名を語るなかれ、という条文を盛り込んだんだと思います。政治的に利用されるから。
 ……OK。謎は解けた。シャロンは確かに「みだ〈り〉に語って」ない、みだらに語ってたんだ!!
 なお、この記事、および僕は政治的に消されることがありm──

*1 デリダの音声中心主義への批判的な態度はユダヤ教がエクリチュール(書かれたもの)を重視する姿勢の現れである……。むつかしいことはわかんないや><
*2 ちなみにn^2の階比数列らしい。かいさすーれつってなんですか。
*3 まぁ、ヤハウェ自身、妬み深いと言ってますしね。「君たちの神であるわれヤハウェは妬む神であり」(20.4)

追記:11月16日
 こんなものを発見しました。こういう企画大好き☆


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書誌情報
著者:不詳
タイトル:出エジプト記
出版者:岩波書店
分類:人文科学
分類:宗教学
分類:キリスト教
分類:ユダヤ教
分類:聖書(旧約)